「派遣事業に関する労働局の調査」は3種類

 「派遣事業に関する労働局の調査」には、以下の3種類があり、それぞれ別々に実施されます。
   ① 定期調査
   ② 労使協定点検
   ③ 同一労働同一賃金調査

「派遣事業に関する調査」は年に複数回実施されることもある

 ①〜③の調査の詳細については、次回以降に説明しますが、これらの調査は、同じ派遣会社に対して年に複数回実施されることがあります。

 例えば、A派遣会社に対して、4月に①の定期調査を実施した後、10月に②の労使協定点検が実施されたり、B派遣会社に対しては、9月に②の労使協定点検を実施した後、1月に同一労働同一賃金調査が実施されたりします。

 実際、私が兵庫労働局で相談員をしていたときも、年に複数回、労働局の調査を受けていた派遣会社が結構あり、かなり大変な思いをされていました。

 その一方で、①〜③の調査を全く受けない派遣会社もあります。

労働局の調査を受ける会社と受けない会社の違い

 なぜこのように、労働局から年に複数回調査を受ける派遣会社もあれば、全く調査を受けない派遣会社があるかというと、労使協定の内容に不備が見られる派遣会社派遣の許可更新を直近に控えている派遣会社については、調査を受ける可能性が高いと言えます。

 労使協定は、毎年6月末までに事業報告書と一緒に提出が義務付けられていますが、提出した労使協定は中身をチェックして明らかに不備が認められるものについては、②の労使協定点検や③の同一労働同一賃金調査の対象となる可能性が高くなります。

 派遣の許可更新の時期を直近に控えている派遣会社については、各労働局によって方針が違う場合もあり、一概に言えませんが、派遣の許可更新の前に、派遣法に沿った事業運営がされているかどうか確認する意味で、①の定期調査を行うケースが見られます。

派遣の実績がなくても労働局の調査対象となる

 よく勘違いされることがありますが、派遣の許可を取得したが派遣の実績がない派遣会社についても労働局の調査対象となります。

 これは、派遣の実績がなくても派遣会社には「事業所ごとの情報提供」「教育訓練計画の策定」など、やっておかなければいけない事項があり、それらについて労働局は派遣会社に対して定期調査を実施します。

「派遣事業に関する調査」は拒否できない

 前回も言いましたが、「そんな調査、なんで受けなあかんねん。年に1度ならまだしも、前の調査が終わったと思ったらまた次の調査って一体どうなってんねん!」と思われる方もいるでしょう。

 実際、私も兵庫労働局の相談員をしていた際は、派遣会社に対して調査を行う立場でしたが、よく派遣会社の方から愚痴られたり、怒鳴られたりしました。

 しかし、派遣法上、派遣会社は「派遣事業に関する調査」に協力しなければならないと規定されています。

 もし、協力しない場合は、派遣事業の停止などの行政処分を受けるほか、派遣事業の許可の更新も受けられない可能性があるのでお気をつけ下さい。

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