今回から複数回に分けて労使協定の作成方法を解説します!
今年も4月に入りましたが、派遣会社の皆様は労使協定の更新手続きはお済みでしょうか?
派遣会社の方の一番の悩みは、この労使協定の作成ではないでしょうか?
・毎年、更新しなければいけないのか?
・労使協定の中身はこれでいいのか?
・労働局から指導されたら、どうしよう
・労働局の調査が入ったら、また時間を取られてしまう
など、いろいろ頭を悩ませることも多いと思います。
そこで、今回から複数回に分けて、「労働局から指導を受けない労使協定の作成方法」について解説していきます。
労使協定に記載しなければいけない事項
派遣法上、労使協定に記載しなければいけない事項は以下の通りです。
① 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲
→ 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を記載
・派遣労働者の賃金の決定に関する事項
② 派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の
平均的な賃金(以下「一般賃金」という)の額と同等以上の賃金の
額となるものであること
→ 職業安定局長通達で公表されている派遣労働者専用の職種
ごとの最低賃金表に示されている時給額よりも高い時給額
を派遣労働者に支払うことを比較して示した派遣労働者用の
賃金テーブルを記載すること
③ 派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他
の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善される
ものであること
→ 派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて
昇給するような内容のものを記載すること
(どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブル
ではダメ!)
④ 公正な評価に基づき賃金額を決定する旨
→ 例えば「派遣労働者と面談して成果目標を設定し、一定期間後に
達成状況について改めて面談を行って評価を決める」というよう
に、具体的な評価方法を定めること
⑤ 賃金以外の待遇の決定方法
→ 賃金額については職業安定局長通知に示された額以上の額を支払
っておればいいので、それ以外の待遇については「派遣元の派遣
労働者以外の正社員」と「派遣労働者」との間で整合性が図られ
る待遇を取ることを記載すること
⑥ 段階的かつ体系的な教育訓練
→ 2020年4月以前の派遣法でも規定されていた、教育訓練計画に基
づく教育訓練を派遣元は派遣労働者に対して実施する旨
・その他の事項
⑦ 労使協定の有効期間
→ 労使協定の有効期間を記載すること
⑧ 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定
する場合には、その理由
→ 労使協定の対象となる派遣労働者については客観的な基準に
基づいたものであれば限定することができる(例えば、職種
や有期雇用か無期雇用の違いなど)が、その場合は、限定し
た理由を労使協定に記載すること
⑨ 特段の事情が無い限り、一の労働契約の契約期間中に、当該労働契約
に係る派遣労働者について、派遣先の変更を理由として、協定対象派
遣労働者であるか否かを変更しないこと
→ 派遣労働者の待遇決定方式(派遣先均等・均衡方式又は労使協
定方式)が、派遣先の変更を理由として、一の労働契約期間中
に変更されることは、所得の不安定化を防ぎ、中長期的なキャ
リア形成を可能とする労使協定制度の趣旨に反する恐れがある
ことから、特段の事情が無い限り、認められないことを記載す
ること
記載事項が抜けていると労働局から指導される
上記に記載した①~⑨の記載事項は、派遣法で定められている「必ず記載しなければいけない事項」となります。
したがって、①~⑨の事項のいずれかが、抜けていたり、内容に不備があると労働局から指導を受けます。
また、不備の内容によっては、労使協定方式と認められず、派遣先均等均衡方式が適用されてしまう可能性もあるので、ご注意ください。
次回以降は、上記の①~⑨の事項のそれぞれの具体的な内容について解説していきたいと思います。
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