労使協定に定めなければいけない事項

 労使協定に定めなければいけない事項は以下の通りです。

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労使協定の対象となる派遣労働者の範囲」の記載例

労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を記載します。記載方法は次のような感じになります。


 ・すべての派遣労働者を労使協定の対象とする場合

   労使協定の対象となる派遣労働者は、すべての派遣労働者を対象とする」 




 ・一定の職種の派遣労働者のみ、労使協定の対象とする場合

   労使協定の対象となる派遣労働者は、プログラマーの職種に派遣する派遣労働者に限る




 ・有期雇用派遣労働者のみ労使協定の対象とする場合(無期雇用派遣労働者は派遣先均等均衡
  方式の対象とする場合)

   労使協定の対象となる派遣労働者は、有期雇用派遣労働者に限る


不適切な記載例 ①

 性別、国籍等、他の法令に照らして不適切な基準によることは認められません。

 例えば、

   労使協定の対象となる派遣労働者は、女性の派遣労働者に限る


   「労使協定の対象となる派遣労働者は、日本国籍を有する者以外の派遣労働者に限る


 という記載は、認められません。

不適切な記載例 ②

 また、恣意的に派遣労働者の賃金を下げるために労使協定の対象となる派遣労働者を限定することも法の趣旨に反するため認められません

 例えば、

   労使協定の対象となる派遣労働者は、賃金水準が高い企業に派遣する労働者に限る


   「労使協定の対象となる派遣労働者は、○○○○株式会社に派遣されている派遣労働者に限る



 などは、恣意的に派遣労働者の賃金を下げるために範囲を設定していると捉えられ、間違いなく労働局から指導を受けます

その他の注意事項

 上記の不適切な記載例と認められる事項以外については、特に制限はないので、どのような派遣労働者を労使協定の対象とするかは、会社と労働者の代表者で決めていただければ結構です。

よく記載されている範囲

 私の経験上、

   労使協定の対象となる派遣労働者は、すべての派遣労働者を対象とする」 

 
と記載している会社が多いように思います。

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 本書は、3年間、大阪労働局の需給調整事業部(派遣法の指導監督を行っている部署)で需給調整事業専門相談員として派遣会社や派遣先の企業、社労士や弁護士の方からの相談業務を担当していた筆者が、労働者派遣法のことが全く分からない方や派遣業務が未経験の方でも簡単に派遣関係書類(今回説明させていただいた労使協定や個別契約書等)が作成できるよう、記載例も掲載しわかりやすく解説させていただいています。

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