こんにちは。派遣の許可申請・調査対応、偽装請負・フリーランス法対策を専門とする社会保険労務士の東谷です。
これまで「労働局の派遣調査」「偽装請負」について書いてきましたが、今回は、派遣会社にとって最も重い手続きのひとつ、「派遣の許可の更新」についてお話しします。ここでいちばんお伝えしたいのは、更新は自動ではなく、うっかり失効させてしまうと事業そのものが続けられなくなる、ということです。
派遣の許可には「期限」があります
労働者派遣事業の許可には有効期間があります。最初の許可は3年、その後の更新は5年ごとです。この期間を過ぎるまでに更新の手続きを済ませていないと、許可は失効してしまいます。
「更新のお知らせが労働局から届くから大丈夫」と思われるかもしれませんが、お知らせが届くのは、更新手続き期限の少し前ぐらいです。そこから準備を始めていては、手続き期限に間に合わず、許可を更新できなかったということにもなりかねません。
失効してしまうと、どうなるか
もし更新が間に合なかった場合は、その派遣期間終了日の翌日から派遣事業を行えなくなります。 派遣中の労働者や取引先にも大きな影響が及び、事業の存続そのものにかかわる事態になりかねません。「うっかり忘れていた」では済まされない、それが更新手続きの怖いところです。
更新は「書類を出すだけ」ではありません
もうひとつ見落とされがちなのが、更新は単なる書類の提出ではなく、許可の要件を満たしているかを改めて確認される手続きだという点です。
特に注意が必要なのが、資産に関する要件です。基準資産額や現金・預金の額が、事業所の数に応じた基準を満たしている必要があります。これは直近の決算の状況によって変わるため、「前回は問題なかったのに、今回は基準に届かない」ということが起こり得ます。このほか、キャリア形成支援制度や派遣元責任者の要件なども確認されます。
いちばん怖いのは、資産要件
長年この手続きに携わってきて、更新でつまずく原因は、資産要件を満たせていなかったというケースです。毎年、資産要件を満たせないため、派遣の許可を更新できなかった派遣会社が何十社もあります。資産要件については、直前に気づいても手の打ちようがないことが多く、だからこそ「早めに動く」ことが何よりの対策になります。
備え方 ― 逆算して、早めに動く
おすすめは、有効期限からの逆算です。更新手続き期限の3か月ほど前には、期限の確認・要件のセルフチェック・必要書類の洗い出しを始めておくと安心です。特に資産要件は、毎年の決算の状況を確認し、許可の更新に備えておく必要があります。必要書類は数も多いので、チェックリストで一つずつ潰していくと、抜け漏れを防げます。
おわりに
派遣の許可の更新は、頻度こそ数年に一度ですが、失敗が許されない大切な手続きです。「次の更新はいつだったか」「今の状態で要件を満たせているか」に少しでも不安があれば、早めに点検しておくことをおすすめします。ご不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
このnoteでは、これからも派遣・請負・フリーランスにまつわる実務の話を、分かりやすくお届けしていきます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。更新の要件や手続きの詳細は、事業所の状況や管轄の労働局により異なります。具体的な手続きにあたっては、最新の情報をご確認のうえ、専門家にご相談ください。
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