有料職業紹介事業の労働局調査に、
調査を担当していた社会保険労務士が対応します。
労働局から「職業紹介事業の調査に伺います」という連絡があった。あるいは、調査が来る前に書類を整えておきたい。そのような職業紹介事業者の方を支援しています。
弊所では、大阪労働局・兵庫労働局の需給調整部門で計4年間、許可の審査と事業所の調査を担当した社会保険労務士が、調査で確認される書類の整備から当日の対応、指導を受けた後の是正までをお手伝いします。
1 労働局の調査とは
職業安定法(昭和22年法律第141号。以下「職安法」という。)第50条では、厚生労働大臣は、職業紹介事業者に対して、必要な事項を報告させ、または事業所に立ち入って帳簿書類などを検査させることができると定められています。
つまり、許可を受けた職業紹介事業者は、法令どおりに事業を運営しているかを、労働局から確認される立場にあることとなります。そして、確認の結果、問題があれば、職安法第48条の2に基づく指導・助言が行われます。
ちなみに、厚生労働省が医療・介護・保育の3分野の職業紹介事業者を対象に行った集中的な指導監督では、実施した1,152事業所のうち716事業所(約6割)で職安法等の違反が確認されています。主な違反は、多い順に、帳簿書類の整備(職安法第32条の15)、求人者・求職者への事業情報の明示(同法第32条の13)、人材サービス総合サイトでの情報提供(同法第32条の16第3項)、労働条件等の明示(同法第5条の3)、個人情報の取扱い(同法第5条の5)となっています(厚生労働省 職業安定局需給調整事業課「医療等3分野の集中指導監督の実施状況」令和6年5月時点)。
2 調査の一般的な流れ
- 1労働局からの連絡調査の日時と、当日までに用意する書類が伝えられます。
- 2書類の準備求人票、求人管理簿・求職管理簿・手数料管理簿、取扱職種の範囲等の明示の書類などを用意します。
- 3調査当日書類の確認と、職業紹介責任者などへの聞き取りが行われます。
- 4指導問題があれば、口頭または文書で指導を受けます。
- 5是正と報告指摘された点を改め、労働局へ是正の内容を報告します。
調査は当日で終わりではありません。指導を受けた場合は、指摘された書類を作り直し、是正した内容を報告するまでが調査となります。
3 労働局の調査では、具体的に何を見られるのか
私が労働局で職業紹介事業者の調査を担当していた際、次の点について指導することが多くありました。
(1)事業報告と人材サービス総合サイト
職安法第32条の16第3項により、職業紹介事業者は、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」で、就職者数、無期雇用で就職した方の数とそのうち6か月以内に離職した方の数、手数料、返戻金制度などの情報を提供することとなります。毎年度の実績を入力する必要があります。
「うちは紹介の実績が0件だから、事業報告書は出さなくていい」と思われている方もいるようですが、これは間違いです。職安法第32条の16第1項により、事業報告書は紹介の実績がない場合でも提出する必要があります。
(2)取扱職種の範囲等の明示
職安法第32条の13により、職業紹介事業者は、求人者・求職者に対して、次の事項を明示しなければならないこととなります。
- 取扱職種の範囲等
- 手数料に関する事項
- 苦情の処理に関する事項
- 求人者の情報および求職者の個人情報の取扱いに関する事項
- 返戻金制度に関する事項
原則として、求人・求職の申込みを受理した後(受理したときを含む)に、書面で明示します。明示のための書類そのものを作成していないという事業所は、少なくありません。
(3)労働条件の明示(求人票)
職安法第5条の3により、職業紹介事業者は、求職者に対して、従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないこととなります。「求人者から聞いた内容を口頭で伝えている」というだけでは足りません。
明示しなければならない主な事項は、業務の内容、労働契約の期間、試用期間、就業の場所、始業・終業の時刻や休憩・休日、賃金、加入する保険、募集者の氏名または名称、受動喫煙を防止するための措置などとなります。2024年4月1日からは、業務の内容と就業の場所の「変更の範囲」、有期労働契約を更新する場合の基準(更新の上限を含む)も加わっています。
前述の集中的な指導監督でも、試用期間、社会保険・労働保険の適用、賃金の形態や通勤手当、休憩時間、昇給に関する事項が明示されていない例が挙げられています。
(4)求人の受理
職業紹介事業者は、一定の労働関係法令に違反した求人者などからの求人の申込みを受理しないことができます(職安法第5条の6)。そして、職業紹介事業者は、求人の申込みが不受理の対象に該当するかどうかについて、求人者に自己申告を求めることとされています。
つまり、求人を受け付けるたびに、求人者から自己申告書を出してもらう必要があることとなります。
(5)求人管理簿・求職管理簿
職安法第32条の15により、職業紹介事業者は、事業所ごとに求人管理簿・求職管理簿・手数料管理簿を備え付けなければならないこととなります。保存期間は、求人・求職の有効期間が終了した後2年間です。
求人管理簿には、求人者の氏名または名称、所在地とあわせて、求人者側で求人や採用選考に関する連絡を行う担当者の氏名と連絡先電話番号などを記載する必要があります。
賃金に幅がある場合は、下限と上限の両方を必ず記載してください。また、時給・日給・月給など、支払いの単位が分かるように記載します。
例えば、「月給200,000円~」ではなく、「月給200,000円~250,000円」のように記載します。
職業紹介により無期雇用で就職した方に対しては、就職した日から2年間、転職の勧奨を行ってはならないこととされています。管理簿には、この禁止期間を記載します。
例えば、2026年6月5日に無期雇用で就職した方であれば、転職勧奨の禁止期間は2026年6月5日~2028年6月4日となります。
無期雇用で就職した方が、就職から6か月以内に離職(解雇を除く)したかどうかを確認し、その結果を管理簿に記載する必要があります。確認の方法は、本人や求人者への調査によるか、返戻金制度に基づく返金の有無によるかのいずれかとなります。調査による場合は、調査日と調査方法も記載します。
この結果は、人材サービス総合サイトで提供する「6か月以内に離職した方の数」のもとになります。
このように、誰から求人を受けて、誰を紹介し、就職した方がその後どうなったのかまでを、後から確認できるよう記録しておく必要があります。
4 指導を受けたまま放置した場合
指導を受けた点を是正しないまま事業を続けた場合、改善命令(職安法第48条の3)を受ける可能性があります。さらに、許可の取消しや事業の停止の命令(職安法第32条の9)につながる場合もあります。
また、許可の更新の際には、事業報告書の提出状況などもあわせて確認されますので、ご注意ください。
5 労働者派遣事業と同時に調査が行われる場合
派遣会社の中には、有料職業紹介事業の許可もあわせてお持ちの会社が多くあります。私の経験上、両方の許可をお持ちの会社では、派遣と職業紹介の調査が同時に行われることが多くありました。
したがって、労働局から派遣の調査の連絡があった場合でも、職業紹介の書類をあわせて準備しておくことをおすすめします。
派遣の調査については「労働局の調査対応(派遣)」のページで説明しています。両方の調査への対応をまとめてご依頼いただくこともできます。
6 弊所のサービス内容と料金
| 業務 | 内容 | 報酬(税別) |
|---|---|---|
| 労働局需給調整事業部(課)調査対応 | 労働局から調査を受けている職業紹介事業者様が対象です。調査で提出を求められる書類の整備から当日の対応、指導を受けた後の是正までを支援します。 | 150,000円~ |
上記は標準的な報酬額です。事業所の数や書類の整備状況によって異なりますので、お話を伺ったうえでお見積りいたします。調査の連絡を受ける前の書類の点検も、ご相談ください。
