派遣の労使協定

労使協定の対象となる派遣労働者の範囲の書き方

労使協定方式を採る派遣元事業主が、はじめに決めなければならないのが「誰を協定の対象にするか」です。ここは書き方そのものより、選んだ範囲に理由があるかどうかが問われます。労働局の指導につながりやすい書き方もあわせて整理しました。

労使協定に定めなければいけない事項

労使協定に定めなければいけない事項は、次のとおりです。

労使協定の対象となる派遣労働者の範囲

労使協定の対象となる派遣労働者の範囲

→ 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を記載すること。

派遣労働者の賃金の決定に関する事項

派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金(以下「一般賃金」という)の額と同等以上の賃金の額となるものであること

→ 職業安定局長通達で公表されている派遣労働者専用の職種ごとの賃金表に示されている時給額と同額以上の時給額を派遣労働者に支払うことを、比較して示した派遣労働者用の賃金テーブルを記載すること。

派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものであること

→ 派遣労働者の賃金テーブルは、派遣労働者の頑張りに応じて昇給するような内容のものを記載すること(どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルでは足りません)。

公正な評価に基づき賃金額を決定する旨

→ 例えば「派遣労働者と面談して成果目標を設定し、一定期間後に達成状況について改めて面談を行って評価を決める」というように、具体的な評価方法を定めること。

賃金以外の待遇の決定方法

→ 賃金額については職業安定局長通達に示された額以上の額を支払っておればよいので、それ以外の待遇については「派遣元の派遣労働者以外の正社員」と「派遣労働者」との間で整合性が図られる待遇を取ることを記載すること。

段階的かつ体系的な教育訓練

→ 2020年4月以前の派遣法でも規定されていた、教育訓練計画に基づく教育訓練を派遣元は派遣労働者に対して実施する旨を記載すること。

その他の事項

労使協定の有効期間

→ 労使協定の有効期間を記載すること。

労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定する場合には、その理由

→ 労使協定の対象となる派遣労働者については、客観的な基準に基づいたものであれば限定することができます(例えば、職種や、有期雇用か無期雇用かの違いなど)が、その場合は、限定した理由を労使協定に記載すること。

特段の事情がない限り、一の労働契約の契約期間中に、当該労働契約に係る派遣労働者について、派遣先の変更を理由として、協定対象派遣労働者であるか否かを変更しようとしないこと

→ 派遣先が変わったことを理由として、一の労働契約の期間の途中で待遇の決定方式(派遣先均等・均衡方式か労使協定方式か)を変更しようとしない旨を記載すること。

労使協定に定めなければいけない事項の一覧

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「労使協定の対象となる派遣労働者の範囲」の記載例

労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を記載します。記載方法は次のような形になります。

すべての派遣労働者を労使協定の対象とする場合

労使協定の対象となる派遣労働者は、すべての派遣労働者を対象とする

一定の職種の派遣労働者のみ、労使協定の対象とする場合

労使協定の対象となる派遣労働者は、プログラマーの職種に派遣する派遣労働者に限る

有期雇用派遣労働者のみ労使協定の対象とする場合(無期雇用派遣労働者は派遣先均等・均衡方式の対象とする場合)

労使協定の対象となる派遣労働者は、有期雇用派遣労働者に限る

範囲を一部に限定する場合は、あわせて限定した理由を労使協定に記載する必要があります(上記⑧)。書き方をまねるだけでは足りず、その理由が客観的な基準によるものかどうかが問われます。

不適切な記載例 ①

性別、国籍等、他の法令に照らして不適切な基準によることは認められません。例えば、次のような記載は認められません。

認められない記載

「労使協定の対象となる派遣労働者は、女性の派遣労働者に限る」

認められない記載

「労使協定の対象となる派遣労働者は、日本国籍を有する者以外の派遣労働者に限る」

不適切な記載例 ②

また、恣意的に派遣労働者の賃金を下げるために労使協定の対象となる派遣労働者を限定することも、法の趣旨に反するため認められません。例えば、次のような記載です。

認められない記載

「労使協定の対象となる派遣労働者は、賃金水準が高い企業に派遣する労働者に限る」

認められない記載

「労使協定の対象となる派遣労働者は、○○○○株式会社に派遣されている派遣労働者に限る」

これらは、恣意的に派遣労働者の賃金を下げるために範囲を設定していると捉えられ、労働局から指導を受けることになります。

その他の注意事項

上記の不適切な記載例と認められる事項以外については、特に制限はありませんので、どのような派遣労働者を労使協定の対象とするかは、会社と労働者の代表者で決めていただければ結構です。

よく記載されている範囲

私の経験上、

労使協定の対象となる派遣労働者は、すべての派遣労働者を対象とする

と記載している会社が多いように思います。範囲を限定すると、限定した理由の説明が必要になり、労働局の調査でも確認される部分になるためです。

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