こんにちは。派遣事業の実務を専門にしている社会保険労務士の東谷です。
派遣という仕組みには、法律で「やってはいけない」と定められた行為がいくつもあります。悪気なく、あるいは慣行のつもりで行っていたことが、実は違法だった――そんなケースは少なくありません。
今回は、派遣会社(派遣元)と受け入れる会社(派遣先)の双方に関わる、代表的な禁止事項をご紹介します。
1. 二重派遣 ― 受け入れた派遣労働者を、さらに別の会社へ
もっとも起こりやすく、注意が必要なのが「二重派遣」です。
これは、派遣先が受け入れた派遣労働者を、自社で働かせるのではなく、さらに別の会社へ送り込んで、その会社の指揮命令のもとで働かせることをいいます。
「別の会社に送り込む」と書きましたが、場所は派遣先のままでも、その場所で、別の会社の者がその派遣労働者に対して指揮命令をしていれば、二重派遣に該当します。
二重派遣を行った場合、労働者派遣ではなく「労働者供給」というものに該当します。
「労働者供給」とは、労働者と雇用関係にないが支配従属関係に該当する者(供給元)が、知り合いの会社にその労働者を斡旋して、そこで労働者を働かせて、その会社から労働者を供給した報酬を貰ったりすることをいいます。
この「労働者供給」は、職業安定法に違反する違法行為で、罰則も定められています。
特に、多重下請けの構造や、IT業界のSES契約などで、指揮命令の系統があいまいなまま起きてしまうことがあります。「誰の指示で働いているのか」が二重派遣を見分けるカギになります。
2. 日雇派遣の原則禁止
「日雇派遣」、つまり30日以内の短期雇用による労働者派遣は、原則として禁止されています。
ただし、例外もあります。
一部の専門的な業務についてはこの限りではなく、また、働く人の側の事情によっても認められる場合があります。たとえば、60歳以上の方、昼間学生の方、一定以上の収入がある方が副業として従事する場合などです。とはいえ、あくまで例外は限定的ですので、「短期だから」と安易に日雇派遣を行うのは避けるべきです。
3. そのほかの主な禁止事項
このほかにも、押さえておきたい禁止事項があります。
まず、派遣が禁止されている業務です。港湾運送、建設、警備、そして病院等での医療関連業務(一部例外あり)などは、労働者派遣を行うことができません。
次に、離職後1年以内の派遣の禁止です。ある会社を離職した労働者を、離職後1年以内に、その元の勤務先へ派遣したり受け入れたりすることは禁止されています(定年退職者などは除きます)。
さらに、派遣先が派遣労働者を事前に選ぶことを目的とした行為、いわゆる事前面接や履歴書の事前送付なども、原則として禁止されています。
なぜ、これらが怖いのか
これらの禁止事項に違反すると、罰則の対象になったり、行政指導や勧告を受けたりするおそれがあります。
派遣会社にとっては、許可の取り消しや更新への影響という、事業の根幹に関わる問題にもなりかねません。そして何より、取引先や労働者からの信用を失うことにつながります。
まず、確認しておきたいこと
派遣会社であれば、日雇派遣や禁止業務への派遣を行っていないか、離職後1年以内の派遣に該当していないかを確認しておきましょう。
派遣先であれば、受け入れた派遣労働者を他社で働かせる二重派遣になっていないか、事前面接のような行為をしていないかを見直しておくと安心です。
おわりに
派遣の禁止事項は数が多く、しかも「知らなかった」では済まされないものばかりです。「うちのやり方は大丈夫だろうか」と少しでも気になったら、早めに点検しておくことをおすすめします。ご不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
このnoteでは、これからも派遣・請負・フリーランスにまつわる実務の話を、分かりやすくお届けしていきます。
二重派遣や日雇派遣、心当たりはありませんか
この記事でお伝えした二重派遣・日雇派遣・禁止業務・離職後1年以内の派遣・事前面接は、いずれも「知らなかった」「悪気はなかった」では済まされない禁止事項です。特に二重派遣は、罰則のある違法行為(労働者供給)にあたります。少しでも心当たりがあれば、そのままお気軽にご相談ください。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。禁止事項の詳細や例外の範囲は、業務や就業の実態により異なり、取扱いも改定されることがあります。具体的な対応にあたっては、当事務所にご相談ください。
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