「労働局から派遣法の調査の通知が届いた。何を、どこまで出せばいいのか分からない」
「派遣関係書類は一応そろえているが、これで足りているのか自信がない」
「派遣労働者の教育訓練の記録や労使協定を、いま出せと言われたら正直きびしい」
ひとつでも心当たりがあれば、この診断をお試しください。。
派遣法、偽装請負対策、フリーランス法に特化した社会保険労務士の東谷です。
事務所のサイトで公開している無料の自己点検ツールを、1つずつご紹介しています。
今回は3つ目、「労働局からの派遣事業の調査対応診断」です。
労働局の派遣法の定期調査(定期指導)は、ある日突然、書類の提出を求めてきます。
通知を受けてから、長くてもおおむね1か月以内に提出を求められることが一般的です。そこで法違反が見つかると、指導だけでなく、許可の更新に影響することもあります。
この診断では、調査で確認される主なポイントについて、御社が今どの程度対応できているかを、14の質問で確認できます。所要時間は約3分。氏名やメールアドレスの入力は不要で、その場で結果を確認できます。
→ [診断はこちら]
https://srhigashitani.com/chosa-shindan/
1. なぜ、この診断を作ったのか
この診断を作った一番の理由は、労働局から調査の通知が届いてから慌てて確認するのではなく、通知が来る前から自社の状況を確認できるようにしたかったからです。
派遣法の調査については、労働局から調査の通知が事業所に届いた後にご相談いただくケースがほとんどです。
そして、そこからのやりとりは、たいてい同じ流れになります。まず、必要な書類や対応を一つずつ確認し、手元にある書類を見ながら、足りないものがないかを確認します。こうした作業を、限られた期間の中で進めていくことになります。
ただ、こうした確認は、調査の通知が来る前でもできます。 むしろ、期限に追われていないときのほうが、落ち着いて確認し、必要な対応を進めることができます。
もうひとつ理由があります。調査で確認される項目の多くは、派遣事業の許可更新でも確認される項目と重なっています。教育訓練、派遣元責任者、社会保険への加入などです。
調査で指摘を受けたにもかかわらず、そのまま改善せずにいると、許可を更新するときに、再び確認されることになります。
そこで、調査で実際に確認される項目を整理し、調査の通知が来る前でも、届いた後でも確認に使える診断としてまとめました。
2. 何を診断するのか
14の質問を、内容ごとに6つのグループに分けています。
- まず、今の状況 すでに通知が届いているのか、まだなのか。緊急度によって、優先すべきことが変わります。
- 調査で提出する「書類」はそろっていますか 調査で提出を求められる主な書類です。派遣元管理台帳、労働者派遣契約書、派遣先への通知と抵触日の通知、就業条件明示書、比較対象労働者の待遇情報。
- 情報公開は適正ですか マージン率などの情報提供です。ウェブでの公開が原則で、調査では公開画面を印刷して提出することになります。
- 労使協定は適正に結ばれていますか 労使協定方式を採っている場合の項目です。書面で協定を結んでいるか、過半数代表者を適正に選んでいるか、協定の内容を周知しているか、そして協定で定めた賃金の水準について確認します。
- 教育訓練は適正に行えていますか 教育訓練の計画を作っているか、そして、その計画どおりに実施できているかを確認します。
- 必要な体制や保険加入は整っていますか 派遣元責任者を適正に選任しているか、必要な時期に講習を受けているか、そして社会保険・雇用保険に適正に加入しているかを確認します。
質問は、たとえばこのような形です。
Q. 就業条件明示書を、派遣労働者に交付・保存できていますか? (派遣労働者に就業条件を明示する書面です。労働基準法の「雇入通知書」とは別の書類である点に注意が必要です)
Q. 過半数代表者を適正な手続きで選出し、締結した協定を全労働者に周知していますか? (投票・挙手など民主的な方法で選出し、管理監督者でないことが必要です。周知は、派遣労働者以外も含む全労働者に対して必要です)
Q. 教育訓練を、計画どおり全対象者に実施できていますか? (計画を作っているだけでなく、実際に実施しているか、事前に労働者へ知らせているか、実施した記録を残しているかも確認されます。)
選択肢は「できている」「不安がある」「確認できていない」の3つが基本です。迷ったときは、正直に「不安がある」を選んでください。そのほうが、点検すべき項目がはっきりします。
3. 調査では、「書類があるか」だけでなく「中身」も見られます
この診断の質問には、ひとつ特徴があります。
「書類を作成しているか」だけを確認する質問は、ほとんどありません。
- 管理台帳 → 必要な内容がきちんと記載されているか、3年間保存しているか
- 派遣契約書 → 必要な記載事項に漏れがないか
- 待遇情報 → 契約前に、書面で受け取っているか
- 教育訓練 → 計画を作っているだけでなく、実際に実施し、記録を残しているか
- 労使協定 → 締結しているだけでなく、その年度の賃金水準に合った内容になっているか
調査で指摘を受けるのは、書類そのものがない場合だけではありません。書類はあるものの、中身が必要な要件を満たしていない、あるいは、書かれているとおりに運用できていない。こうしたケースで指摘を受けることも、労働局の調査では少なくありません。
そして、もうひとつ注意していただきたいことがあります。
あとからでは対応できない項目もあるということです。
たとえば、過半数代表者の選び方です。会社が一方的に指名していた、管理監督者が選ばれていた、どのように選ばれたのか説明できない──こうした場合、労使協定そのものに問題があると判断される可能性があります。
労働局から調査の通知が届いてから書類だけを整えても、それまでの選び方までやり直したことにはなりません。
教育訓練の実施記録も同じです。実際に実施していない年について、あとから実施したことにすることはできません。
だからこそ、通知が来る前に点検しておくことに意味があるのです。
4. 調査で見落としやすい5つのポイント
ここでは、診断の質問に沿って、実際に私が派遣会社の方によくお伝えしているポイントをご紹介します。
- 就業条件明示書は、雇入通知書とは別の書類です 労働基準法の労働条件通知書(雇入通知書)を渡していればよい、と思われていることがあります。就業条件明示書は、派遣法で必要とされる別の書類です。しかも、派遣契約を更新するたびに交付する必要があります。
- 抵触日の通知は、契約の更新ごとに受ける必要があります
派遣先から書面などで受ける通知です。最初の契約のときに一度もらっただけになっていないか、契約を更新するたびに確認してみてください。 - 労使協定方式でも、待遇情報の提供は必要です
「労使協定方式だから、派遣先からの情報提供はいらない」と思っている方も中にはいます。派遣先が行う教育訓練や、派遣先の福利厚生施設に関する情報は、労使協定方式であっても派遣先から提供を受ける必要があります。 - 協定で定める賃金は、毎年度確認が必要です
労使協定方式の賃金は、その年度の職業安定局長通知で示される一般賃金の水準以上でなければなりません。この水準は毎年度更新されます。古い年度の数字のままにしていると、必要な水準を下回ってしまうことがあります。 - 派遣元責任者の講習は「3年以内」です
派遣元責任者は、選任していればよいわけではありません。過去3年以内に講習を受けていることが必要です。受講日が古くなっていないか、直近の受講日を確認してみてください。
5. 診断を受けると、どうなるのか
14問すべてに答えると、結果が表示されます。
- 注意が必要な項目の数が表示されます
- 14問それぞれについて、「至急対応」「要確認」「概ね良好」の3段階で表示されます
- それぞれの項目について、なぜ問題になるのか、何を確認すればよいのかが表示されます
単に点数を出すだけの診断ではありません。どこに問題がありそうか、その項目で何を確認されるのかが分かるようにしています。
「至急対応」「要確認」と表示された項目は、そのまま調査までに確認・対応しておきたい項目のリストとして使えます。
すでに労働局から調査の通知が届いている方は、提出期限までに何から対応するかを決めるために。まだ通知が届いていない方は、日頃の備えを確認するためにお使いください。
→ [診断はこちら]
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※ 本診断は一般的な調査項目にもとづく簡易的な自己点検であり、調査結果や是正の要否を判定・保証するものではありません。実際に確認される項目は、労働局や事業所の状況、待遇の決定方式等により異なります。具体的な対応にあたっては、当事務所にご相談ください。
本を出版しました!
本書は、3年間、大阪労働局の需給調整事業部(派遣法の指導監督を行っている部署)で需給調整事業専門相談員として派遣会社や派遣先の企業、社労士や弁護士の方からの相談業務を担当していた筆者が、労働者派遣法のことが全く分からない方や派遣業務が未経験の方でも簡単に派遣関係書類(今回説明させていただいた労使協定や個別契約書等)が作成できるよう、記載例も掲載しわかりやすく解説させていただいています。
本書をご購入いただいた方につきましては、各種派遣関係書類を税務経理協会様のホームページからダウンロードしていただけます。
労働局の調査に頭を悩まされている派遣元の担当者の方や派遣先の担当者の方、社会保険労務士の先生方など派遣業務に携われる方は是非、ご一読ください!
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