「更新の案内は、労働局から届くんですよね?」
「決算が終わってから、資産要件を満たしていないことに気づいた」
「有効期限を確認したら、あと2か月しかなかった」
――ひとつでも心当たりがあれば、この診断をお試しください。
派遣法、偽装請負対策、フリーランス法に特化した社会保険労務士の東谷です。
無料のセルフ診断ツールを1本ずつご紹介するシリーズの第2回です。
今回は「派遣許可 更新リスク診断」を紹介します。
全7問、所要時間は約2分。入力や登録は不要で、その場で結果が分かります。
→ [診断はこちら]
https://srhigashitani.com/koushin-shindan/
1.許可が切れたら、派遣事業は続けられません
まず、派遣事業の許可の仕組みを確認しておきましょう。
労働者派遣事業の許可の有効期間は、初めて許可を受けた場合は3年です。一度更新した後は、5年になります(派遣法10条)。
そして、有効期間が満了すると、その許可は失効します。
ここで特に注意したいのが、更新申請の期限です。
派遣事業の許可更新に必要な書類は、許可の有効期間が満了する日の3か月前までに、事業を管轄する労働局へ提出しなければなりません(則5条1項)。
この期限を過ぎてから更新申請をすることはできません。
つまり、有効期限の3か月前を過ぎてしまうと、更新の手続きができなくなります。その後も派遣事業を続けるためには、新たに許可を取り直す必要があります。
では、いつから準備を始めればよいのでしょうか。
当事務所では、資産要件や変更届の確認なども含め、満了日の5〜6か月前には準備を始めることをおすすめしています。
更新は、申請書を書くだけではありません。書類を作り始める前に確認しておきたいことが、いくつもあるからです。
2.7つの質問で何を確認するのか
この診断では、更新のときにつまずきやすい7つのポイントを順番に確認します。
- 許可の有効期限まで、あと何か月あるか
- 直近の決算で、資産要件を満たしているか(最重要)
- 派遣労働者の雇用保険・社会保険の加入手続き
- 今回の更新に必要な教育訓練計画が適正に作成できているか
- 前回の申請以降に変更があった事項について、変更届を提出しているか
- 派遣元責任者講習をいつ受講したか
- 更新申請書を適切に作成できるか
それぞれ3〜5個の選択肢から、自社の状況に近いものを選ぶだけです。
診断が終わると、「要注意項目が何個あるか」が表示されます。
さらに、それぞれの項目が、
「至急の対応が必要」
「要確認」
「概ね良好」
の3段階で表示されるため、どこから確認すればよいのかがひと目で分かります。
3.特に注意したいのが「資産要件」です
7つの項目の中でも、特に重要なのがQ2の資産要件です。
更新するためには、原則として、次の3つをすべて満たす必要があります。
- 基準資産額が2,000万円以上(事業所ごとに2,000万円)
- 基準資産額が、負債総額の7分の1以上
- 事業資金として、自社名義の現金・預金が1,500万円以上(事業所ごとに1,500万円)
「基準資産額」とは、簡単にいうと、会社の資産から負債を差し引いた金額です。
正確には、貸借対照表の資産の総額(繰延資産と営業権を除く)から、負債の総額を差し引いて計算します。
判断の基本は「直近の決算」です
この3つの要件を満たしているかどうかは、まず更新申請時点の直近の事業年度の決算をもとに確認されます。
そのため、決算が終わってから初めて確認するのではなく、決算を迎える前から数字を意識しておくことが重要です。
ただし、直近の決算で資産要件を満たしていなかったからといって、その時点で更新できないと決まるわけではありません。
基準資産額や現金・預金がその後増えた場合には、公認会計士または監査法人による監査証明を受けた中間決算や月次決算を使って、増加後の金額で判断してもらえる場合があります。
さらに更新の場合には、日本公認会計士協会の実務指針に基づき、公認会計士または監査法人が行う「合意された手続業務」による中間決算・月次決算を利用できる場合もあります。
つまり、「直近の決算で足りなかったら、もう更新できない」というわけではありません。
ただし、こうした方法を使うには、公認会計士や監査法人への依頼など、一定の準備期間が必要です。
しかも、更新申請書類の提出期限である「有効期限の3か月前」は変わりません。
だからこそ、早い段階で資産要件を確認しておくことが重要なのです。
早く分かれば、決算前に対応を検討することもできますし、決算後に中間決算などを利用する方法も検討できます。
反対に、気づくのが遅くなるほど、選べる対応方法は少なくなります。
4.更新までのスケジュールを逆算してみましょう
たとえば、許可の有効期限が令和9年6月30日だとします。
① 令和9年3月31日 ― 更新申請書類の提出期限
満了日の3か月前です。
この日を過ぎると、更新申請はできません。
② 令和9年1〜2月ごろ ― 書類の作成・添付書類の収集
提出期限から逆算して、更新申請書や添付書類の準備を進めます。
③ 令和8年のうち ― 更新前のチェック
教育訓練計画の作成、変更届の提出漏れ、派遣元責任者講習の受講時期などを確認しておきます。
④ さらにその前 ― 決算時に資産要件を確認
直近の決算をもとに、資産要件を満たしているか確認します。
不足している場合には、できるだけ早く対応方法を検討する必要があります。
こうして逆算すると、更新の準備は「申請書を書くこと」だけではないことが分かります。
実は、更新準備の重要な出発点のひとつが「決算」です。
なお、更新申請では、キャリア形成支援制度に関する計画書や教育訓練計画の内容も、あらためて確認されます。
フルタイムで1年以上の雇用見込みがある派遣労働者について、少なくとも最初の3年間は、毎年概ね8時間以上の教育訓練の機会を提供する計画になっているかなどが確認されます。
更新の際に、派遣会社が準備に時間を取られやすい書類のひとつです。
もうひとつ、忘れやすいのが派遣元責任者講習です。
派遣元責任者は、過去3年以内に派遣元責任者講習を受講していることが選任要件のひとつです(則29条の2)。
「前回の更新のときに受けたままになっている」ということがないか、早めに確認しておきましょう。
5.診断を受けると、何が分かるのか
7問すべてに答えると、その場で次の内容が表示されます。
- 要注意項目の数と、現在の状況を示す一言
- 7項目それぞれの判定(至急の対応が必要/要確認/概ね良好)
- なぜ注意が必要なのか、次に何をすればよいのかについての解説
診断は約2分。入力も登録も必要ありません。
有効期限が1年以内に来る会社はもちろん、
「うちはまだ先だから大丈夫」
と思っている会社にも、一度確認していただきたい診断です。
更新の問題は、早く気づくほど、対応できる選択肢が多く残ります。
→ [派遣許可 更新リスク診断はこちら]
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。実際の更新の可否や必要な対応は、事業所数、雇用形態、決算の内容などによって異なります。具体的な対応については、当事務所にご相談ください。
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本書は、3年間、大阪労働局の需給調整事業部(派遣法の指導監督を行っている部署)で需給調整事業専門相談員として派遣会社や派遣先の企業、社労士や弁護士の方からの相談業務を担当していた筆者が、労働者派遣法のことが全く分からない方や派遣業務が未経験の方でも簡単に派遣関係書類(今回説明させていただいた労使協定や個別契約書等)が作成できるよう、記載例も掲載しわかりやすく解説させていただいています。
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労働局の調査に頭を悩まされている派遣元の担当者の方や派遣先の担当者の方、社会保険労務士の先生方など派遣業務に携われる方は是非、ご一読ください!
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